スイッチとかワニとか④
―4―
真っ暗がこわい。
そう、暗くなるとワニがいるから。
じゃあ、明かりをつけたままにしたら?
そうだ!
どうして気づかなかったんだろう!
明かりをつけたまま寝ちゃえばいいんだ!
その日から僕は部屋の明かりを一晩中つけておくことにした。
ワニは近づいてこられない。
それに、明かりがついていればきっと強盗も入ってこない。
僕にとっての不安が2つもなくなる、画期的な方法だ。
でも、この作戦は長くは続けることができなかった。
ワニのかわりにパパがきたから。
夜中にトイレにおきたパパが、僕の部屋に明かりがついているのを見た。
「いつまで起きていたんだ」
翌朝、不機嫌なパパは新聞をひらきながら、こっちを見ないで言った。
「…………」
僕が質問の答えを用意していると、パパがもう一度きく。
「昨日、遅くまで明かりついていたね。いつまで起きていた?いつもあんなに遅くまで起きてるのか?」
ほら、すぐに、すぐに言わないと。
「……電気、ついてないと、寝られなくて」
「ふーん、なるほど」
パパはむすっとしたまま、ノートパソコンをひらく。
「ほら、これ」
パパがこちらに向けたディスプレイに映っていたのは、
“明かりを消してメラトニンの分泌をうながしましょう。メラトニンが寝つきを助けます“
市が作成する子育て冊子のPDF版。
「ほら。ちゃんと消しな、電気」
「…………」
「わかった?」
パパはまた、こっちを見ないで言ってから、伸びをしてパソコンをとじる。
それから空になったコーヒーのカップをもってリビングを出て行った。
ー5に続くー