スイッチとかワニとか②
―2ー
小さい頃からそうだった。
こわいものなんて挙げだしたらきりがない。
ハチ、ヘビ、ドラゴン、となりんちのイヌ。
地震、火事、強盗、交通事故。
海は津波がくるかもしれないし、
山は噴火するかもしれない。
あの電線は切れるかもしれないし、
あのトンネルは崩れるかもしれない。
目の前にいるものへの恐怖と、
かもしれないという恐怖。
そして、僕にとってとりわけ恐ろしい存在が
ワニだった。
ギョロリとした目でこちらをとらえ、勝ち誇ったようにゆっくりと近づいてくる。
薄笑いをうかべたような口に覗くのは、鈍く光る鋭い無数の歯。
こちらが目をそらしたらきっとその瞬間終わりだ。
弟の図鑑で見たそれの写真は
「危険生物!」と黄色と黒で縁取りされていて、
テレビのドキュメントでは大きなヌーを川に沈めていた。
こわいものの代表じゃないか。
でも一番の問題は、、、
そいつが僕の部屋にいることだった。
ー3へ続くー